学校を基盤にしたカリキュラム開発
      −支援体制としての「カリキュラムセンター」を−


                                        山梨県教育研究所 所長 望月 忠男


  カリキュラム開発(curriculum development)とは、学校の新しいカリキュラムをつくることです。それは、ある程度枠づくられた形での学校の教科内容、構成を編成するcurriculum makingよりも系統的にカリキュラムをつくることを意味します。それにここで「教育課程」といわず「カリキュラム」とするのは、教育課程よりも、もう少し広く、柔軟に捉えたいこと、つまり教育課程を「生きたもの」と捉えたいからです。カリキュラムとは「学習の総体」「子どもたち=学習者が経験する(刺激や学習経験を含む)全ての経験(履歴)」と考えたいからです。
 さてこの4月からの新しい教育課程に向けて学校では最後の詰めに入っているところだと思いますが、ここで再度、つくられたもの、つくりつつあるものを「学校を基盤にしたカリキュラム開発」という視点でチェックをしてほしいと思います。
 学校を基盤にしたカリキュラム開発(School―Based Curriculum Development:SBCD)とはなんでしょう。
 その学校のカリキュラムづくりには、全教師がその意志決定に参加することに、まず意味があります。田中統治さん(筑波大)は、「カリキュラム開発は、基本的に意志決定のプロセスであり、競合する考えの中からより適切な方向を選択することである。この選択に教師のみならず保護者・住民・子どもまで参加させ、本音で語る雰囲気をつくる」ことがよいといっています。
 1970年代にOECDの教育研究改革センターが提唱したSBCDは、子どもの経験が立ち上がるその現場でカリキュラムを創るというグラス・ルーツ(草の根)な理念にあるといわれています。子ども、保護者、地域のニーズ、持っている情報・予想される情報などにもとづき創られていくものだといえます。 カリキュラム開発のこの時期でのチェックの視点は、次のようなことでしょう。
1.特色あるカリキュラムになっているか。
 特に「総合的な学習」などにおいては「学校間格差」が生じるのは当然のことで学校規模が違い、地域が違い、持っている情報や教材が違うのだから当然で、それがその学校の特色になっていくのだと思います。
2.各授業を基礎にして、全教師が専門的な力量をもって関わったか。
@教育政策(学習指導要領)や教科特性の変化、学校へもたらされる支援や資源など外的な状況。子どもの特性、能力、ニーズ、持っている資料の状況A現行カリキュラムの問題点と教師の価値観・知識・経験などいわば内的な状況をふまえてのものになっているか。 
3.常にフィードバックできるようになっているか。
 澤本和子さん(日本女子大)は、「カリキュラムは、授業が終わった時点で成立する」と言っています。カリキュラム開発は、いわば授業改善の積み重ねによって成し遂げられます。事後の評価の結果を計画修正にフィードバックさせてこそ意味があります。そのような書き込み可能なスタイルになっているか。

 ところで、カリキュラム開発に横並びは必要ないと言いましたが、中教審も提起しているように、学校・教師からの多様なオーダーに対して情報と人的・物的な面からのサービスをするシステム(中央・地域カリキュラムセンター)は必要です。
 神奈川県では、2001年7月「カリキュラムセンター(カリキュラム開発センター)を立ち上げました。山梨県教育研究所のスタッフが 昨年12月藤沢市にありますこのセンターを訪問させてもらいました。
 その立ち上げに至る経過や背景、事業(学校への支援状況)内容については、新年度特集として報告いたします。