平成13年度教育研究所学習会

                     「子どもの社会力を育てる」  門脇 厚司さん(筑波大学)



  山梨県教育研究所学習会が、平成14年2月15日(金)に山梨県立文学館講堂にて開催されました。この学習会は、県教育委員会・県市町村教育委員会連合会・県PTA協議会からご後援をいただく中、県内の教職員をはじめ教育関係者、保護者の方々など幅広くご参加いただきました。
 今年度の学習会を企画するにあたっては、この4月からの新しい教育課程実施直前に、「ゆとり教育批判」や「学力のとらえ」など揺れが見受けられる中、「社会力」という視点からもう一度、実施の主たるねらいである「生きる力」について考えてみる必要があるのではないかと考えました。そこで「社会力」という新しい概念とその具体について提起されている門脇厚司さん(筑波大)を講師にお招きしました。
 当日は、この学習会開始に先立って教育研究所の紹介として研究組織や研究活動の概要を説明させていただきました。
 また、学習会の開会にあたり後援団体を代表して、県教育委員会義務教育課の長谷川義高さんより、県教育委員会としてもこのような学習会の主旨やまた講演の内容に期待する旨のごあいさつをいただきました。

 講演の中で、門脇さんは、教育社会学を研究されており、その立場から、最初に今の子どもたちの状況についてふれ、その中で子どもたちの変化の要因について述べられました。また、門脇さんが提起している「社会力」の概念規定について、ある社会
状況に適応していく「社会性」とは違う力であるとし、「人とつながり、社会を作る 力」であり「よりよい社会を作ろうと考え、構想し、実現する能力」と説明されまし た。学校教育や家庭教育の中でも、どちらかというとその環境や状況に適応していく ことに主眼が置かれているような状況が見受けられる中で、このような提起は今まで の発想を変える新鮮な提起に感じられました。

 門脇さんは、その「社会力」の育成については、大人が重要な役割を持つという認 識を持つ必要があるのではないかとし、子どもと大人の関わり合いの中で「社会力」 は育まれていくとしました。例として「総合的な学習の時間」などでは、積極的に人 との関わり合いを持てるような展開を図る必要があるのではないかと提起されました。確かに「総合的な学習の時間」などにおいて子どもたちが地域や社会と出会う中で 大人と関わりをもつ状況が生じてきます。そして、体験的にこの「社会力」を学び取 っていくとするならば、教師が事前にお膳立てした中で学ぶのではなく、大人の生き 方や生き様の現実と対面するような、学びの展開も必要なのかもしれません。

 講演の後、教育研究所より各学校でのカリキュラム編成にかかわって、「SBCD」(P.1参照)「学力論」「子ども」などいくつかの視点に立って議論し、見つめ直してみたらどうかという資料提示をさせていただきました。
 なお、今回の学習会の全体参加者は、256名にのぼり、学校現場からはもちろんのこと、各市町村の教育委員やPTA・地域の方々の参加が例年より多く見られた学習会となりました。また、終了後に書いていただきましたアンケートについて、多かった意見として「社会力をつけさせることの大切がわかった」「学力低下論が主張され、週5日制も言われているがこの話を聞いて自信がわいた」「全県一斉でなくて小さな単位で企画してもよいのでは」など次回の学習会に向けて参考になるご指摘をいただきました。