(1)授業提供者エントリー制
 県内小中学校305校へ授業提供者及び協力校のエントリーを公募した。一般的に公開研究授業というと一次案内時には、既に授業者・単元名などが決定しているが、「授業提供者の公募」の段階から、情報提供し、学校現場へのゆるやかな促しを行った。

(2)授業者の負担移行と日常性の見える授業を
 公開授業研究会では、指導案の作成は授業者にとっては当然、重要な課題となってくる。かなり前より指導案の練り直しを何度も繰り返し、文言の一字一字まで検討する。これについては、初任時代からある時期までの「教師の力量形成」には、必要な経験ではないかと認識している。しかし、余りに事前検討に労力をかけてしまうと、実際の授業時、また事後の授業研究会での比重がかけにくく、事前比重型から事中・事後比重型へ授業者の負担の移行に取り組む必要があると考えられる。また、授業デザインにあたっては、授業公開だけのための授業設計にしないことを求めた。「授業観察あるいは授業公開に適した場面や活動にこだわらない、できるだけ普段の学習活動を見せていただきたいこと」ということ、つまり「日常性の見える授業」を提供していただきくことである。

(3)授業者の意志決定と自律性を生かす
 本研究委員会と授業提供者及び協力校との連携についてどの部分に関わり合いを持たせていくかということである。授業デザインは、授業者が決定することである。本研究委員らが経験した校内研究会や公開研究会においては、授業の展開の細部までに渡って、ブロック研究などの組織研究が関わってくることが多かった。それについては、共同研究としての様々な角度からの意見提供には、その良さがある。ただ、指摘された意見を受けての修正が学級実態と微妙にずれていたり、既に細部まで計画立てしまったているために、授業実施までの時間経過に伴うずれなどには対応できなかったりする場合もある。よってこれまで以上に丁寧に討議することと併せて、何よりも授業者本人の思いや考えなどに基づく意志決定が最大限に尊重されなければならない。本研究委員会は、授業者の授業設計には関わっていない。

(4)協力校への負担減
 従来の公開研究会は、多くの研究知見を広く情報提供していくという役割から「参加者をできるだけ多く集めること」も大切な要素であったと考えられる。日常的にささやかにひらく目的ならば、この要素も違ってくる。本授業研究会では、「徹底して簡素な運営を心がけ、授業協力校への負担をなくす形」で「授業観察」「授業研究会」そのものに比重を置くこととした。具体的には一般参加者を「少数人数定員制」とし、例えば駐車場の対応をなくしたり、参観者の数によって授業会場の変更などがないようにしたりすることにした。また、児童の負担を考え、授業及び授業研究会の時間設定は、通常通りの設定で行うこととした。研究会資料や授業観察また研究会で使用する機材などは教育研究所が準備、対応した。

(5)ワークショップ型授業研究会
 討議中心型研究会から、ワークショップ型研究会へ一部分転換する。今までの授業研究会では、その冒頭に「授業者からの反省」としてから始まることが多い。それは、自分の視点で自分の授業をふりかえり、自分の言葉で語ることは非常に有効な方法である。しかし、どちらかというと授業者の弁明的な内容が中心になりがちである。そこで、できるだけ授業者の心理的負担を減らし、ゆるやかなふりかえりによる気づきを促す「授業者と対話者(メンター)」による「対話リフレクション」の視聴を行うことにした。また、発言者が固定的になりがちなで、発言量によっては討議の組み立てに苦労する討議中心型研究会から、参加者相互のコミュニケーションを促し「授業の見方・見え方の異同」について共有し合う「フリーカード法」を中心にしたワークシップ型授業研究会を組み立入れた。

3.フリーカード法について
 授業観察時に付箋紙などの用紙に自分の観察印象を記述する。できるだけ自分の言葉でその印象や感想・意見や質問などを記述する。観察者の心のつぶやきである。このカードを参加者で模造紙などに貼り付け、カテゴリー分けを行う。カテゴリーにはタイトルをつける。この作業を行う過程を通して、各自の書いたカードと他のカードとの比較や同じ内容系列でもあっても意見交換することによって、授業の見え方が違ってくることがある。ねらいは、ワークショップを通して作業を行う参加者相互のコミュニケーションシップが、自然と研究討議の活性化につながることにある。
 整理したカードは、時間系列ごとに貼り付けてもいいし、時間系列と何かの領域列(例えば教師・児童というような視点設定)で設定してもよい。

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