このようにして貼り付けられたカードをKJ法のような形で同じカテゴリーと思えるもの同士で囲ってタイトルをつけてみたり、貼付枚数の多いところを中心に授業ビデオを見直して話し合ってみたり自由に工夫して活用することができる。これらの活動を通して話し合いを進めていく。

4.対話リフレクションについて
 授業リフレクションとは広義には、「自分の授業をふりかえることによる授業研究の総称」をさす。せまい意味では、「一定の手続きを踏む省察を取り入れた授業研究」と定義される。いくつかの方法が研究開発されているが、いずれも反省的実践(reflection in action)、すなわち実践行為の中で自分自身をふりかえりながら、行為によって実践していく自らの実践を研究し、成長する教師をめざしている。
対話リフレクションとは、「授業リフレクション」の一部である。授業者の指定するメンター(対話者)が話し相手となって授業者の「気づき」をゆるやかに促す過程である。(日本女子大学 澤本和子)
 授業者はまず自らの内観、すなわち自分自身の授業についてメンターに説明していく。メンターはその授業分析の背景にある要素や環境などの情報を聞き出し、授業者と同じ環境や意識になるように努める。メンターに説明していく行為の中で既に説明しながら、気づいている自分に気づくことがある。メンターを誰にするかという問題がある。原則的には、授業者が決める。授業者と何かしら共有する部分をもっている方が望ましいとされる。例えば、授業実施の単元に詳しい方とかその学級の子どもたちのことに詳しい方などである。メンターは授業者とのやりとりの中で、ある程度の共有できる部分が出てきた時に今度は、共感的でありながらも批判的な視点をもったメンターとしての役割を始める。メンターの意図的な問いかけがあり、授業者とメンターの意見や考え方の一致あるいは不一致が見られる。これらについては統一したり、収束させたりする必要はないとされる。

5.ボトムアップ型授業研究会の実際
(1)授業研究法@「フリーカード法+対話リフレクション」(甲府市立北新小学校)
 第5学年総合的な学習の時間「つくろう情報ステーション」学年ティームティーチングを参観した。当日の研究会参加者は約60名。本時では、各グループごとに「伝えたいこと」「調べたいこと」を中心に「山梨の特産品」「甲府の歴史」「郷土料理」「動物」「スポーツの楽しさ」など10グループから中間発表が行われた。
この授業研究会では、最初に「フリーカード法」によるワークショップを行った。
授業観察時に参加者各自が、付箋紙に書いた授業感想や印象、疑問などを時間系列と 教師・子どものなどの内容系列に区分した大型模造紙に貼付していき、同じカテゴリー分類する過程で参加者同士の意見交換が行われた。
 この後、大学研究者と(日本女子大学 澤本和子さん)と授業者で「対話リフレクション」を行った。
この時に、二画面同期したビデオ映像を視聴しながら、研究者であるメンター(対話者)と実践者である授業者との対話を視聴した。「学年ティームティーチングになぜしたのか。」という問いかけも出され、授業者はその長所などを具体的に引き合いに出しながら説明を行った。
最後に各グループごとに今日の研究授業、授業研究また今後の実践の方向性などについて討議した。

対話リフレクション


(2)授業研究法A「カード構造化法」(身延町立下山中学校)
 第3学年の総合的な学習の時間、単元名「生命(いのち)」。学年の生徒数21名に教師4名による4グループ編成で、本発表に向けての中間発表会を参観た。単元に関わる個人テーマは、「保育」「自殺」「遺伝子組み換え食品」「従軍慰安婦」「覚醒剤」「ハンセン病」「障害」「戦争」「児 童労働」などであった。グループ毎に発表しあって、質問や感想を交えながら、討議し、教師のアドバイスを参考にしながら、本発表にむけての課題や取り組みを生徒各自がもつことをねらいとする授業であった。
 事後の授業研究会では、「カード構造化法の実際」(京都大学 藤岡完治さん)について、自分の観察した授業をもとにカードツリーを作成し、途中、作成したカードツリーを視聴しながら、藤岡さんとツリー作成者との対話 リフレクションを視聴した。
 最後に、完成したカードツリーを持ち寄って、観察グループごとに意見交換を行い、お互いの授業の見方や見え方についての相違点を中心に議論することができた。



カード構造化法の実際


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