『子どもの権利条約アンケート』結果から考えたいこと

−各 学 校 で の 論 議 を !−

 今日まで、教育問題研究委員会は、子どもが「権利の主体」「学習の主体」となるべく取り組みを進めてきました。とりわけ、今から10年前に国連において採択された『子どもの権利条約』(以下「条約」と表記)の理念は、まさにその基調となるものととらえ、その具現化に向け、学習や啓発活動に取り組んできました。
 そのような中、昨年度の教職員対象のアンケートに続き、今年度、各小中学校の協力を得る中で2000名以上の子どもたちの声を集約できたことに、改めて研究委員会を代表して感謝申し上げます。
 さて、今回のアンケートの集計結果については、各項目ごとに若干の分析や考察を加えてありますが、明確な分析は加えられないものの、各学校における教育実践をすすめていく上で実態把握に努めていただきたい視点・論議していただきたい観点について、4点にしぼって提起させていただきたいと思います。
 
1.「『子どもの権利条約』を知らない子ども70%以上」をどう受け止めるか。 
 [問1]の結果(掲載ページを参照)を見ると、小学校5年生の80%以上、中学2年生の70%以上の子どもたちが、「条約」を知らないと答えています。
 昨年度の教職員向けのアンケート結果においても、「『条約』に関して子どもたちに話をしたことがない。」と答えた教職員が70%を越えるという結果が出ています。「条約」が教育現場に入っていかない原因として「教職員の意識の問題」がよく言われますが、文字通り、それを裏付ける結果になっています。
 私たちは、各学校において、何が「条約」に関する学習・啓発活動の推進を妨げているのかをまず、明らかにしていく必要があると考えます。「条約」第42条には、「締約国は、この条約の原則及び規定を、適当かつ積極的な手段により、大人のみならず子どもに対しても同様に、広く知らせることを約束する。」とあります。まず、各学校において、「条約」について知ることから始めたいものです。

2.「ゆっくり休みたい」「遊びたい」という声をどう受け止めるか。

 [問4]の結果から言えることは、子どもたちが「ゆっくり休むこと」(43.3%)「遊ぶこと」(43%)を特に大切にしてほしいと思っているという事実です。また、中学2年生について言えば、[問3]で「守られていない」とする項目で最も多かった答えが、「ゆっくり休むこと」(20.6%)であることも注目されます。
 このことは、2通りの受け止め方ができます。一つは、この結果をそのまま読みとると、今の子どもたちが、絶えず何かに追いかけられているような状況の中で生活しているのではないか、ということです。もう一つは、子どもたち自身の「ゆっくり休むこと」「遊ぶこと」に関する意識自体が、時代とともに変化してきていることの現れとのとらえ方です。つまり、子どもたちの生活自体にはかつての状況よりも余裕があるとも考えられる状況にも関わらず、子どもたちの時間に関する感覚や、「遊ぶこと」「休むこと」に対する意識(認識)が変わってきているという見方です。
 いずれにしても、子どもたちの要求の背景を解き明かしていくことが大切ではないでしょうか。それができるのは、子どもを目の前にしている教職員を中心とした、保護者を含む大人たち、ではないでしょうか。

3.「子どもの意見を聞いて学校のいろいろな活動を決めてほしい」と言う声をどう受け止めるか。

 [問7]の「子どもの意見を聞いて、学校のいろいろな活動を決めてほしいと思いますか。」という問いに対して、「とてもそう思う」「少しそう思う」と答えている子どもがほぼ8割にのぼっています。「子どもの意見を学校の活動にどう生かしていくか」については、学校や学級の実態や個々の状況・場面により一概には言えませんが、どのような取り組みや活動をすすめるのにも、子どもたちがその意味(意義)を理解したときに大きな成果が得られることは、周知のことです。
 私たち教職員に今求められているのは、一人一人の子どもと向き合いながら、子どもの思いを受け止めようとする姿勢であり、そのような中で子どもとの信頼関係を積み上げていくことではないでしょうか。

4.『子どもの権利条約アンケート』結果をどう活かしていくか。

 今回のアンケートによって、回答を寄せてくれた子どもたちのおよそ8割が「条約」を知らないことが分かりましたが、それ以外の部分でも、今回のデータは貴重な示唆を私たちに与えています。
 例えば、[問3]の回答によって、およそ7%の子どもたちが、「親から暴力やむごい扱いを受けないこと」に関して、自分が「守られていない」と答えている事実があります。昨今、孤立化する子育ての状況も広がる中で「児童虐待」ともとらえられる実態が浮かび上がってきています。そういった点からしても、この結果は、(子どもたちのこの問いに対する認識の差はあると考えられるものの)決して無視できるものではありません。
 このアンケート結果を、ご一読いただくとともに、各校における子どもの実態をもう一度振り返っていただく中で、今後の学校や家庭のあり方について話し合うきっかけにしていただければ幸いです。

    2000年2月10日
山梨県教育研究所教育問題研究委員会



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